実践版 三国志《孫権編》

「魏」「呉」「蜀」のなかで、呉という国は他の2国とはちがう成り立ちをもっています。
父から兄へ、兄から弟へ、と引き継がれ、弟である孫権が1国の創設を成し遂げた国です。

孫権がリーダーになった時、それまでの家臣達も彼に従いました。
古参の家臣、新たに加わった家臣、それらをまとめあげた事で成功者なれました。

では、どのようにしてリーダーシップを発揮したのでしょうか。

1、広く意見を求め、判断する。
2、権威と権力を発揮。
3、団結力と、敵を作ること。

現代のリーダーにももとめられることではないでしょうか。

1、広く意見を求め、判断する。

孫権が19歳の時に、兄が亡くなります。
兄の死を嘆き悲しんでいたとき、「今は乱世、喪に服すよりも軍服を着ているべきだ」と指摘されます。
また、戦場で自ら先陣を切った時、「戦場で威をふるうのは武将の任であり、主将のつとめではない」となだめられます。
血気盛んな頃にあっても、反発せず年長者の助言を謙虚に受け止める事ができました。

重大な事を決める会議においては、自分に賛成の意見だけを重宝しませんでした。
反対派の意見も全体に披露させ、議論したうえで自分の決断に従わせました。

孫権より経験も戦歴もずっと長い重臣が多くいたために、全体のバランスをとる必要があったのです。

一方的に押し付けるのではなく、広く意見を出させた上で、決断する事で不満を最小限におさえ団結できたと思います。

2、権威と権力を発揮。

他者を従わせようとする時に必要なのが「権威」と「権力」です。
権威とは、自発的に同意・服従を促す事。
権力とは、強制的に物事をさせる事。

リーダーの多くは、権力だけで周囲を動かそうとするので不満分子を抱えてしまいます。

そもそも、権威とはなんでしょうか。

現代で分かりやすく説明するなら「ノーベル賞」がそのいい例です。
「1900年から続いている」という伝統と、過去に偉人達が受賞したお陰で、ノーベル賞という権威が生まれました。
例えば、「アインシュタイン」「レントゲン」「ヘミングウェー」などの有名な人が受賞した事で、賞そのものに価値が生まれました。
そしていつの間にか、受賞することが名誉になっていきました。


孫権の話に戻りますが、孫権もそれと同じような事をしています。
「手本となる人」「功績を残した人」を他の家臣の前で褒め称える事をわすれませんでした。

孫権の家臣に「周泰」という人物がいました。彼は低い身分の生まれだったため、軽蔑して言うことを聞かない部下達が出ます。
孫権周泰の陣へ行き、宴会を開きました。
そのなかで周泰の壮絶な働きぶりを語り、周泰上着を脱がせ、体に刻まれた数々の刀傷を部下達に見せながら、涙ながらに周泰に感謝を述べたそうです。
そうした光景を見た、周泰の部下達は自分の小ささを反省しました。

孫権は、「手本となった行為」や「功績」を明確にして、それを行った人に厚い恩賞を与えました。
正しい評価をすることで、新たな貢献者を生み出す好循環をつくりました。

この循環が、孫権の権威にもなりました。

3、団結力と敵を作ること。

孫権の配下にも派閥がありました。
特に厄介だったのが、父の代から仕えていたベテラン勢と、孫権と同世代の若手勢です。
孫権異なる勢力のバランスを取るのが上手でした。
時にはベテラン勢の策を推し進め、時には若手勢の策を熱心に聞き入れたりしました。
孫権は、どちらかだけを優遇したりせず、評価することに徹しました

また、派閥よりも困難な問題といえば、人間同士の問題です。
戦国時代でしたので、旧敵どうしであった者達もいました。
孫権は、不和を解決する事はせず、任地を離れさせて会う機会をなくしました。
人を説得するよりも、物理的な環境を変えました。
管理できないことで悩まず、管理できることで側面から解決して、組織管理を効率的に進めました。

しかし、チームがまとまり団結力が生まれただけでは戦国時は生き残れません。

敵を作る事で、さらに強い団結がつくられ、敵を倒すことで、自信がつきます。
現代風にいえば、明確な目標を立て、達成することで自信につながります。

兄から権力を引き継いだ時は、まだ敵対勢力が周辺にひしめいていました。
古参の家臣が多かったその頃は、「父や兄の志を達成する」という目標を掲げて、敵を周辺勢力に定めました。

周辺勢力を討伐したあとは、「呉を磐石にする」という目標を掲げて、敵を異民族に定めました。

そうやって、巨大勢力とは対立せず足場をかため勢力を広げました。

孫権が率いた勢力は、自信が積み重ねられたお陰で、曹操率いる大軍にさえ立ち向かえたのです。

《まとめ》

孫権は権力を引き継ぎました。
1から作り上げた国ではなかったので、周りを意識してそれらを活かす事に自然となったのかもしれません。
創設者であれば、それだけで権威となって人を動かす力になるかもしれません。

しかし多くの場合、どこかの組織に属して認められてリーダーになります。
そういうリーダーには、人を動かす原動力とは何かを考える必要があります。

原動力を生み出す事が、リーダーシップだと思います。

原動力がない会社だと、やらされてる→つまらない→苦痛だ→転職する→人手不足→社内に伝染する。という悪循環が生まれます。

原動力があれば、やってやる→楽しい→もっとやりたい→明日も頑張る→人が辞めない→社内が活気づく。となります。

兵隊を活かすも殺すも、リーダー次第です。
世の中のリーダーさん!!頑張ってくださいね。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。