できる人は『食べ過ぎない』

人は分泌物に支配されている

お腹いっぱい食べてしまった後は、眠気が生じて頭の回転が鈍ります。

満腹になると「セロトニン」という脳内物質が分泌されます。
セロトニンは、リラックス効果のあるメラトニンの分泌を促し、眠気を強める働きをします。

満腹になると行動力が鈍るのは、そういった体の仕組みなのです。

腹八分目で食事をすますことが大切です。
脳内物質を制御することで自分をコントロールしやすくするのです。

人間の行動は、自分で決めているようにも見えますが、結局のところ分泌物によって左右されています。

食べ過ぎる仕組み

ここで食欲の仕組みを少しだけ解説します。

食欲は脳の中の「視床下部」という領域で管理されています。

食事をとると、全身の脂肪細胞から「レプチン」というホルモンが分泌されます。
また、脂肪細胞内の脂肪量が増えるとレプチンの分泌量が増えます。

レプチンが増加すると、脳の視床下部にある受容体に働きかけ、摂食を抑えます。
同時に、交感神経にも働きかけエネルギーの消費を促します。

レプチンが分泌されても、視床下部への伝達が上手くいかないかなくなることがあります。
このような作用を「レプチン抵抗性」といいます。

レプチン抵抗性の人は、十分なエネルギーをとっていても脳が認識できず、食欲が止まらなくなり食べ過ぎてしまうのです。

食べ過ぎると記憶力が低下して、学習能力が低下することも分かっています。

レプチンは「大脳皮質」や「海馬」にも作用し、学習記憶や感情にも影響するのです。

太ると学習能力が落ちる

英国のケンブリッジ大学のチームは、心理学雑誌「QJEP」の2016年2月26日号に「肥満度を示すBMI値が記憶力に影響を与える」という内容を発表しました。

コンピューターゲームを使って、エピソード記憶の能力をテストしました。

これによると、肥満の人は標準体重以下の人に比べて、平均で15%も成績が悪かったのです。
BMI値が高い人ほど記憶が曖昧になる傾向が見られました。

研究チームは論文の中で、「肥満の人は満腹ホルモンのレプチンの分泌をコントロールできていないようだ」とコメントしています。

人への実験で確かめたのはこれが初でしたが、それまでにマウスを使った研究は多くされてきました。

マウスを迷路に入れてゴールにたどり着かせる実験では、レプチンを投与したマウスは成績が向上したのです。

この実験では、空間認知能力にも影響を与えるということが分かったのです。

レプチンは、満腹感を与えるだけでなく「学習ホルモン」でもあります。

肥満の人は、食べたものへの記憶が曖昧になるので食間が増えます。
食間が増えれば、さらに太るという悪循環になってしまうことになるのです。

《まとめ》

食欲をコントロールすることは、自分をコントロールすることです。

脳でも胃袋でも詰めこみ過ぎては、いいことはありません。

自分の行動をしっかり把握できなくなるリスクが高まり、物事を先伸ばしする原因にもなります。

物事を先伸ばしするクセが付いているなら、質にこだわった料理を味わうことからはじめてはどうでしょうか。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。